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ブログ7 諏訪湖と湖岸清掃

諏訪盆地は周囲を山に囲まれています。その中心に諏訪湖があります。このブログでは、諏訪湖とその周囲の地形を取り上げてご紹介します。写真撮影に出かけ、改めて「崖のある風景」をお伝えしたい気持ちになりました。
これまでのブログと同様、本ブログでも引用は青字にしてあります。

1.諏訪湖
当地では、諏訪湖の海抜を759mと学校で教わります。「名古屋(758)より1メートル高いだけ」という語呂合わせであります。子供の頃はその数字の大きさ(標高)に気づきませんでしたが、本ホームページの記事作成を通して長野県内の他の地域と標高を比較するようになると、「諏訪人は高地民族」という認識がさらに深まりました。
県内の主だった市役所の標高を、各ホームページに記載の数字で比較してみましょう。なお下の表では、近くを流れる河川等の水情報を右端に追加しておきました。

長野市役所 362.49メートル 千曲川と犀川が合流し、信濃川に
松本市役所 592.21メートル 犀川
諏訪市役所 761.45メートル 諏訪湖
飯田市役所 499.02メートル 天竜川
上田市役所 456   メートル 千曲川

これら市役所の標高の中で、東京スカイツリーの634mを越えるのは諏訪市だけであります。

今年はコロナ禍の影響で、地元開催の諏訪湖マラソンが中止となりました。ここで走ったタイムはハーフマラソンの公式記録になるそうです。諏訪市のヨットハーバーをスタートとゴールに、諏訪湖を1周して走ります。実際には諏訪湖1周だけではハーフの距離に達しないので、スタート直後は上川(かみかわ)沿いに走って、そして折り返します。「諏訪湖マラソン」のホームページの下欄にあります「コースガイド」をクリックしてご覧ください。

以上で諏訪湖のプロフィールとして、「海抜が759メートル、周囲が21キロメートルより小さい」ということが理解していただけたと思います。より詳細な諏訪湖のデータを、諏訪市役所のホームページより拾ってみます。
海抜759メートル、湖周15.9キロメートル、面積13.3平方キロメートル。
諏訪湖は、諏訪盆地の真ん中に四方を山に囲まれて横たわる信州一大きな湖です。
湖上ではボート、遊覧船、わかさぎ釣りと四季を通して楽しめます。
諏訪湖畔は自然を大切にと「なぎさ」が整備され散歩コースには最適です。
また、夕日に染まる湖畔は、ロマンチックな雰囲気が味わえます。

諏訪湖の周りにはジョギングロードと言って、ウォーキングやジョギングが楽しめる専用の道が1周しています。1周が16キロメートルであり、4キロメートル毎に諏訪湖1周の地図を掲載した案内図が立っています。更にその間を、1キロメートル毎に刻んだ看板が立っています。歩いたり、あるいは走ったりする距離が、これらの看板で直ぐ分る仕組みです。このジョギングロードは車道と分離され、脚に優しい弾性ゴムチップ舗装のコースとなっております。なお現在は、車道とジョギングロードとの間に更に自転車専用のサイクリングロードを整備しているところです。

2.諏訪大社下社近くにある崖のような地形
江戸時代には、諏訪大社下社の春宮と秋宮は中山道で結ばれていました。京都を出発して中山道経由で江戸に向かう場合、木曽を経由し下諏訪宿に入ると、まず春宮にお参りできます。そこから秋宮に向かう道は、かつて温泉宿で賑わっていました。秋宮の近くには今も本陣跡(岩波さんというお宅になっている)が残っています。
ところで春宮から歩くと、宿屋街(温泉街)を抜ける辺りが急な上り勾配になります。私のイメージは、諏訪湖の湖底の縁(へり)から諏訪湖の岸に上るイメージであります。右の写真を少し説明させていただきます。中央から上の方に延びる道路が旧中山道で、上り切ると国道142号線と合流します。ほんの少し行ったところが本陣で、その先に秋宮の杜が見えて来ます。因みに写真の手前方向が、春宮方面です。昔の宿場町の風情が残っている地域であります。

さて国道142号線ですが、下諏訪町と佐久方面とを結ぶ幹線道路であり、江戸時代の中山道に沿っています。諏訪大社下社の秋宮と春宮とを結ぶ道路部分は、「花見新道」とも呼ばれています。春になりますと、桜の花がきれいに咲き誇ります。この花見新道の諏訪湖側、眼下に旧中山道が走っています。花見新道(国道142号線)から旧中山道を見下ろすと、ちょうど崖に上に立っているような錯覚に襲われます。  

3.甲州街道と上諏訪駅近くの崖
下諏訪宿は江戸時代、甲州街道の終点で、中山道と接続する宿場町でありました。さて春宮から旧中山道を通って秋宮に向かい、更に秋宮を過ぎて進みますと旧甲州街道に入ります。Googleの地形図によると海抜800メートル辺りを山梨県方面に進みます。山と諏訪湖の間にあるわずかの土地にJR中央東線と国道20号線が走り、山の中腹を削って旧甲州街道が走るという構図となります。上の地形図では、これら3つを赤丸で囲っておきました。JR上諏訪駅の諏訪湖側には上諏訪温泉のホテル街があり、その反対側には垂直に切り立ったような崖が見られます。

JR中央東線(国道20号線)と直角になる方角、右の画像では道路の突き当り(T字路の先)が諏訪湖です。この場所から反対側を振り返ります。目の前に崖が迫ります。

 

 

 

車はこの崖を迂回しないと登れませんが、人は石段を登ることができます。

この崖の石段を登り切って振り返ると、ホテル街の先に諏訪湖を見ることができます。崖の上は、丘のような、あるいは山の稜線のようなイメージです。崖の上には住宅が立ち並んでいます。石段を登り切って下を見下ろすと、右のような画像になります。

 

 

 

 

 

 


4.諏訪湖の反対側、小坂観音院近くにある崖のような地形

上諏訪駅から諏訪湖を越えて更に目を遠くに向けますと、その方向の山の斜面に小坂観音院があります。Wikipediaによれば、
長野県岡谷市湊四丁目にある真言宗智山派の寺院。山号は龍光山。本尊は十一面観音。 一般的には「小坂観音院」の名で知られる。
とあります。さらに引用を続けると、次のようです。
井上靖の著書「風林火山」では、諏訪頼重の娘由布姫(諏訪御料人)は、武田信玄の側室となって武田勝頼を生み、この観音院で暮らす設定になっている。井上靖の小説を原作とした平成19年(2007年)のNHK大河ドラマ「風林火山」でも観音院が登場する。

ここから眺める秋の諏訪湖は、次のような風景です。

諏訪湖の南側の斜面になりますが、今は中央道が小坂観音院の上方を通っています。中央道を山梨県側に少し進むと、諏訪湖サービスエリアがあります。諏訪湖畔を通る県道から見上げると、ここも崖の上に建物が建っているイメージです。

逆に中央道の諏訪湖サービスエリアから見下ろす諏訪湖の風景は、こんな具合です。画像右側の方向に当社はあります。

5.八ヶ岳を削った川が持ち込む土砂で埋まりつつある諏訪湖
諏訪盆地を俯瞰すると、すり鉢状に山々が囲み、その底に諏訪湖があるというイメージになると思います。どちらかと言うと南東側に開けた地形となっており、こちらが新宿方面に向かう方向となります。
地図でマーキングをした所が当社の位置で、かつて湖底ではなかったかと想像させるような場所にあります。

諏訪建設事務所のWebサイトで、諏訪湖の水深を測定した記録を見ることができました。昭和56年(1981年)、平成17年(2005年)、平成30年(2018年)の3回の測定結果を比較すると、どんどんと水深が浅くなって来ていることが分かります。

データでもこのように変化する諏訪湖でありますが、見た目も年ごとに表情を変えています。私の自宅は山の中にあるので、諏訪湖を間近に見ることは余りありません。通勤時に自家用車の車窓から「きれいに見える」諏訪湖を眺めるだけであります。やはり諏訪湖の状態は、歩いて近くまで行かないと良くわかりません。ジョギングしながらでも1周16Kmを走れば湖周全体のおおよそが観察できます。だから諏訪湖マラソンの練習が、ちょうどいい「諏訪湖の観察機会」となるわけです。

今年は水草が上諏訪温泉(JR上諏訪駅付近)の近くでも観察されるようになりました。水草の発生ですが、私の印象では最初は高浜(下諏訪町、旧甲州街道)の辺り、次が反対側の湊(岡谷市、小坂観音院)、そしていよいよ上諏訪温泉前にも進出して来たように感じてしまいます。急激な広がりであります。何となく、諏訪湖がどんどんと水草に覆われて行くような恐怖心に襲われてしまいます。

 

 

6.下水道の普及
高度経済成長期が終わる頃、諏訪湖はすっかり汚れてしまっていました。「子どもの頃は、諏訪湖で泳いでいた。」と私の亡母(昭和一桁生まれ)は語っていました。しかしそれが、私の子どもの頃(小中学生)になると、夏の諏訪湖は近づいただけで異臭を放つ湖となっていました。
諏訪湖を汚していたのは、工場排水ではなく、生活雑排であったと思われます。電気洗濯機が一般家庭に入って来て、栄養豊富な洗剤を含んだ泡だらけの家庭排水が諏訪湖に流れ込んで行きました。何しろ諏訪湖に流れ込む川からして、川底が見えないくらいに白くよどんだ「どぶ川」となっていました。

子どもの頃に諏訪湖で泳いでいた世代は諏訪湖を蘇らそうと、下水道を普及させて行きました。

まずは「日本下水道協会」のホームページで道府県別下水処理人口普及率を見てみましょう。日本地図に下水処理人口普及率の数字が埋め込んであります。令和元年度末における全国の下水道普及率は79.7%で、長野県は84.1%と全国平均を上回っています。川の上流に住む者たちが水を汚したら、下流に住む人たちに申し訳ないと、私は思います。グラフにしてみますと、長野県は全国第10位の下水道普及率であります。

次に諏訪湖周の自治体をピンポイントで見てみましょう。長野県内の、市町村別の下水道普及率を見ますと、湖周2市1町(諏訪市、岡谷市、下諏訪町)は県内ベスト4に入っています。しかしまだまだ、泳げる諏訪湖までには道のりはまだまだ遠そうであります。

7.綺麗な諏訪湖を取り戻す活動
私たちの世代も引き続き、諏訪湖の景観をも含め、水質改善に取り組んでいます。具体的には諏訪湖周辺や、あるいは流入する河川でのゴミ拾いの活動に励んでいます。例えば下諏訪町の場合、諏訪湖浄化協議会(略して湖浄連と言う)が先頭に立って諏訪湖のゴミ拾いを呼び掛けます。湖浄連のホームページのトップに次のような具合に書かれていますので、ご紹介します。
湖浄連は、昭和55年8月の設立以来、「諏訪湖にトンボを」、「よみがえれ諏訪湖」を合言葉に、毎月1回の湖岸清掃をはじめ、諸々の啓発活動、学習活動を行っている有志団体です。
啓発活動の1つに講演会があり、私は諏訪湖に係る住民として、これを聞くことが楽しみの1つとなっています。今年は『市民主導の水辺空間づくりと新たな水辺利活用の可能性』と題し、国立研究開発法人 土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター 専門研究員の坂本 貴啓氏の講演がありました。私は諏訪湖ほどに天竜川に関心を持っていませんでしたが、この講演会をきっかけに、もう少し天竜川のことを知りたいと思うようになりました。

黙って何も活動をしていなかったら水質が悪くなってしまうであろう諏訪湖をどう守るのか、茅野市、富士見町や原村を含めた諏訪郡6市町村の各自治体も住民と共に浄化活動に取り組んでいます。

8.補足説明
第4項の補足(1)
毎年8月15日、諏訪湖では花火大会が開催されます。諏訪湖サービスエリアから見ると、ちょうど対岸に花火が上がることになります。しかしサービスエリアでの花火鑑賞は禁止されています。交通渋滞の発生原因になるからです。くれぐれも諏訪湖サービスエリアから8月15日に花火を見ようという気を起こさないでください。

第4項の補足(2)
観光ついでに、水陸両用バスをご紹介したいと思います。本文中、諏訪湖サービスエリアを見上げた写真は、この乗り場付近の駐車場から撮影したものです。諏訪湖にお出でになりましたら、是非ご利用ください。

第5項の補足
より詳細を知りたい方はまず長野県の公式ホームページにアクセスし、次のような手順を踏めばpdfファイルを入手できます。
1) サイト内を「諏訪湖の湖底測量」で検索する。
2) Pdfで一連の資料が閲覧できる。

第7項の補足
坂本氏は全国の河川を巡っておられます。それを ミツカン水の文化センター のWebサイトで記事にされています。天竜川の記事は、こちらをご覧ください。

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